「支配人」ゴトウイズミと「イナゴ代表」タケダの
イズミカル・トーク【完全版】
※公演パンフレット用に掲載したオンライン・トークの完全版を特別公開します。完全版とは言っていますが、コンプライアンス上どうしても載せられない部分はカットしていますので、ご了承ください。
タケダ:
ごめんなさい、トークのテーマ、ノープランです。
イズミ:
あ、これって何用に何するんだっけ?
タケダ:
パンフレット掲載用の対談というかトークというか。2ページ、ぶっこ抜きみたいな。
イズミ:
なるほど。じゃあ面白おかしくやりましょう。私が質問したほうがいいな。
タケダ:
絶対そっちが良いと思います。
イズミ:
うん、タケダくんが答えるほうが面白いはず
タケダ:
今日は何でも答えます。
イズミ:
じゃあまず無難なところから。今回の作品について。メッセージ性みたいなのは何かある?
タケダ:
中国新聞さんにはすごくマジメに答えたんですけど。
イズミ:
マジメに答えたの。ダサイな(笑)。
タケダ:
(笑)。そしたら、すごくちゃんと取り上げてくださって。
イズミ:
いいじゃん、それで予約入ったから(笑)。何か、大竹市の人がババッて。すごいじゃん、ヨシくんファンだ。(イズミさんは時々気まぐれにタケダのことを「ヨシくん」と呼ぶ)
タケダ:
そういえば今、大竹で演劇できる場を作りたいって言ってくれる方がいて、そこで最初に僕らが上演して、面白かったら続けようみたいな話になってて。
イズミ:
ええ、面白くなかったらどうしよう!(と言いつつ画面に向かって変顔をする)
タケダ:
その顔はそんな面白くないです。
イズミ:
笑わせようとやってるんじゃなくて、Zoomを楽しもうと思って。
タケダ:
Zoomやったことないですか?
イズミ:
ある。
タケダ:
あるんかい(笑)照れ隠しなのかなと。
イズミ:
ないない。今、タケダくん、ひっくり返ってるから。だって携帯ひっくり返して見てるから。
タケダ:
(話を戻す)で、中国新聞さんにホント、マジメに答えたんですよ。そしたら「コロナ禍を問う」みたいな見出しをつけてくれて。めっちゃマジメなお芝居だと思って観に来たらどうしようかなと。
イズミ:
で、実際は?
タケダ:
イズミさんに喜んでもらいたいなと。
イズミ:
おおー。
タケダ:
そしたらまたヲルガン座でやらせてもらいたいなと。
イズミ:
じゃあ毎月本公演やりましょう。
タケダ:
やった!でもウチ、男優が僕と山田くんぐらいだからなあ。
イズミ:
そっかあ。山広さん(山広朋実)、どう?疲れてない?
タケダ:
どうでしょう。あ、昨日通し稽古やったんですよ。山広さん、最初は淡々とナチュラルな感じだったですけど、最近かなりお芝居っ気が出てきた気がします。表情とかもすごいついてきて。
イズミ:
ついに目覚めたか、トモミが(笑)オナゴDXに加わるのも時間の問題だな。
タケダ:
(笑)。すごいお芝居のセンスを感じますね。
イズミ:
ギターを持たなくなるのも時間の問題だ。
タケダ:
ギターがあるから安心してできるってのもあるかと(笑)。
イズミ:
ギターのない、丸腰トモミは、どう?
タケダ:
イケると思います。そう遠くない将来。
イズミ:
ヤバイ。そうやってみんな演劇の世界に入っていくんだよ。怖いなあ(笑)。ぜひ、「オナゴトモミ」として、オナゴデラックスのオナギャルとして使ってあげて。
タケダ:
オナギャルって何かアレですね。
イズミ:
え?何?何で?
タケダ:
いやいや。(イズミさんのTシャツを見て)何て書いてあるんですか?そのTシャツ。(「ギ」の文字が見える)ギャルソンですか?
イズミ:
ギャルソンじゃない。秘密。
タケダ:
何で。あ、「ギター部」か。
イズミ:
しかも「すいません太郎」って書いてある(笑)。えー、つまり今回の作品のメッセージ性は、私に喜んでもらって、その先にオナギャルとしてトモミが出ると。
タケダ:
あ、まあ。あの今回、公演のお話をもらって、正直ノープランだったんですよ。何やろうって。何も思い浮かばないし。
イズミ:
ほお。タケダくんってさ、台本書いてて煮詰まった時はどうしてるの?散歩するとか?誰かと話すとか?
タケダ:
ずっと煮詰まってるからなあ。気分転換も何も。
イズミ:
ツイキャスは?
タケダ:
しますね。あれはある種の逃げですね。
イズミ:
あれって何の意味があってやってるの?
タケダ:
聴いてくれてるんですか?
イズミ:
聴いた、3分ほど。ボソボソとフランス人の映画みたいなキャスだった。ゲンズブールかお前は。
タケダ:
喋り続けてる間に、自分が言いたいことや、何にモンモンとしてるのかが分かってくるっていうか。でも寂しがりやだから、誰かに喋りを聞いててほしいなって(笑)。その程度の物です。
イズミ:
やりながら目的がすり替わっていくんだな(笑)。でもアウトプットするのは大事。誰かと話して自分の気持ちを自然に言っちゃうみたいな。作品作るには特にね。大事ですよね。
タケダ:
自分の中で考えててもわかんないから。話してたらわかることがあったりして。だからいつも誰かと話していたい。そして一方的に喋っちゃう。
イズミ:
初めて台本を書いたのは?何歳の時?
タケダ:
公演向けとかじゃなくて?
イズミ:
うん。
タケダ:
小4の時の学芸会で。「タケチャンマン」ていう。当時流行ってたひょうきん族の丸パクリですけど、タケダだからタケチャンマンって。
イズミ:
えー面白い!
タケダ:
いじめっ子に「許さないぞ!」って言って子どもみたいなケンカを仕掛けて懲らしめる話です。ストーリーはほとんどない。ケンカして終わるだけ。
イズミ:
や、すごい面白い。今更そういうのやったらいいのに。
タケダ:
え、やりません。
イズミ:
わかりました(笑)イナゴっていつも長い作品を1本ドン、っていうのが多いけど、オムニバスみたいなのはやらないの?
タケダ:
やったことないですね。
イズミ:
何で?
タケダ:
そんなにやりたいって思わないっていうか。でも「イナ王」っていう、3本短編やって一番良かった俳優をお客さんに選んでもらうっていう公演をやりました。
イズミ:
誰が優勝?
タケダ:
山田くんです。
イズミ:
そういうの獲りすぎだよなアイツ。大喜利とかもさ。勝っちゃうよね。ねえ山田くんの強さって何?
タケダ:
何だろう。優しさ?
イズミ:
優しさ?
タケダ:
や、よく分かんねえな。何だろう。
イズミ:
え、ホントに?
タケダ:
単純に、観た時に「あ、コイツ良いな」って思わせるんですよね。
イズミ:
なるほどね。今回のキャスティングは、当て書き?
タケダ:
山広さんはギターを弾くので当て書きで、女の役がもう1人、これは中川さん。で、男の役2人は、僕と山田くんで、どっちする?って感じで。
イズミ:
話し合って決めた?
タケダ:
でも最初の読みで山田くんがゲロって役を読んで、終わった後に「もうめっちゃ愛着湧いてます」って。じゃあそれでいいじゃんって。イズミさんも提案してくれましたけど、話し合ってません(笑)
イズミ:
山広さんの役をタケダくんがやったら?歌も歌ってさ。
タケダ:
そう、制作の宮川さんがよく言うんですけど、「らんちきやりたい」って。(※「らんちき」とは役をシャッフルすること)
イズミ:
まあでもそれはマニアックな面白さだよね。
タケダ:
追加公演でウラ公演みたいな形でできたら、やりたいですね。シャッフルするから、台詞もまともに出てくるかわかりませんと客にお断りして(笑)。
イズミ:
武田くんがギターを弾いて。
タケダ:
ギターは持つけど、最後まで弾かないですよ。
イズミ:
いやいや、弾こうよ。『Blue』(劇中に使われる山広さんの楽曲)とか。
タケダ:
いやいや。
イズミ:
え、何で?
タケダ:
以前、ヲルガン座の「8分間劇場NEO」で僕、イズミさん脚本でギター弾いて、二度と弾くかって思いました。(※「8分間劇場NEO」=2018年にヲルガン座で行われた演劇企画。4人がそれぞれ8分間の2人芝居の台本を書き、1人2作品に出演する)
イズミ:
(笑)。でもあれ面白かったよね。
タケダ:
面白かったですね。
イズミ:
何か別に聞こうと思ったことが、何だっけ。ああ、何で「イナゴデラックス」なの?
タケダ:
よく聞かれるんですけど、覚えてなくて。必死に思い返したんですけど、確か、高校の時に演劇部でスタッフチーフみたいな役割やってて、7回くらい部員向けの「○○通信」みたいなペーパーを作って発行したんですけど、そのタイトルが確か「DXイナゴ」だったなって。
イズミ:
(笑)。
タケダ:
何でそのタイトルかって覚えてないんですけど、大学で劇団始めようって思った時に、何か高校の時のことを思い出して。当時その公演がめっちゃモメた公演だったんです。舞台装置を担当してた先輩が「こんなんだったらこの装置壊してやる!」とかめっちゃキレて。
イズミ:
おー、面白い(笑)
タケダ:
で、怖かったんで、その先輩に後輩の僕が謝ったりして。そしたら「お前は偽善者だ」とか言われるし(笑)。
イズミ:
あははは。
タケダ:
そんなゴタゴタがあった公演が終わって、反省会の時に「コミュニケーションが足りない、もっとお互いを分かり合おう」ってなって、その日から、1人に対してみんなが思ってることや印象を語るみたいなおぞましいことをやり出して。そしたら別の先輩からも「偽善者」って言われて。「基本、タケダは偽善者だよね」とか。俺はそこまで偽善者なのかと(笑)。
イズミ:
偽善者の称号を与えられた(笑)。
タケダ:
今にして思えば、それをずっと払拭したかったのか、大学で劇団やろうってなった時に、「俺は偽善者じゃない」と言いたくて「DXイナゴ」をひっくり返して「イナゴDX」にしたのかなと。(※正確には、当時の劇団名は「いなごDX」)これ、今のところの分析です。
イズミ:
全然わかんないけど、わかりました(笑)。
タケダ:
でもこれ、劇団名の由来としては説明しにくいから「イナゴは稲を食い荒らしまくる、世の中からは害でしかない存在だけど、そんなイナゴだってデラックスな存在になれる!」という意味を後から付け加えました。
イズミ:
そっちは全然面白くないな。偽善者のほうが断然良い(笑)。偽善者のほうでいいんじゃない?
タケダ:
ロングインタビューがあればそっちも話します(笑)。
イズミ:
でもデラックスは分かるけど「イナゴ」って何なんって。そういう疑問を持つ前に、イナゴって名前に馴れちゃってたけど。そう、マツコデラックスは、マツコだけだとヘンだからデラックスでもつけとけって言われたかららしいけどね。イナゴもそんな感じなのかな?と思って。
タケダ:
マツコデラックスってそういうことなんですか
イズミ:
うんラジオで言ってた。もしくはタケダくんの顔がイナゴっぽいって言われたとか?イナゴと言われ続けた結果とか。
タケダ:
どんな顔や。あ、それ聞いてて思い出しましたけど、僕、故郷が群馬なんですけど、イナゴの佃煮が食卓に出るんです。それがすごく嫌で、「何でバッタ食わなアカンねん」って。無理やりイナゴを食わされた時の忌々しい記憶から来てるのかも。ネガティブで自虐的な性格を変えたいって思ったのかもしれないです。
イズミ:
そういう自虐とかネガティブさはタケダくんの原動力な気もするな。そこから作品力が生まれてるような。陰湿な面白さ(笑)。そういうの得意だよね。
タケダ:
自分ではわかんないですけど。
イズミ:
それは自分だからだよ。わかってたらとっくに変わってるから(笑)。タケダくんとケンカとかめんどくさそうだな。もし付き合ったらめんどくさそう(笑)。
タケダ:
めんどくさいのは自覚してるからケンカしたくないんですよ。
イズミ:
ケンカしないように自分でしてると思ってるかもしれないけど、実はケンカしないよう、周りが環境作ってくれてるんだと思う。ていうか、そういう環境をタケダくんが自然と作ってきてるんだと思う。「俺めんどくさいよ」アピールが成功してるんだよ(笑)。
タケダ:
それ良いことなんですかね(笑)。
イズミ:
良いことでしょう。職場でもそうじゃない?
タケダ:
職場では割とめんどくさいと思われてる気が。
イズミ:
じゃ違うか(笑)。何か、王子様感があるんだよなタケダくんって。だからみんなが尽くすというか、支えるというか。王様じゃないんだよ、王子様。
タケダ:
王様ではない?
イズミ:
王様ほど偉くないというか。威厳はない(笑)。
タケダ:
はい(笑)。
イズミ:
華があるってことだよ。
タケダ:
そうですか?
イズミ:
って書いといてください(笑)。
タケダ:
以前、占い師から、前世は位が高い人ばかりって言われました。
イズミ:
ほら来た!王子様!
タケダ:
けど今は訳あって、平民らしいです。でも前世が、位が高い人ばかりだから、基本傲慢な性格だって言われました。
イズミ:
と話してる時に、昼の部が売り切れた!おめでとう!
タケダ:
やった!
イズミ:
夜がまだ10人だな。
タケダ:
・・・何で土曜夜にあまり来ないのかな。
イズミ:
武田くんのところの客層がそうなんじゃない?演劇関係者?
タケダ:
土曜の夜も普通に公演やりますけどね。でもこの前、宮川さんが小さな声で「今、私たち人気ないですからね」って(笑)。
イズミ:
(笑)。じゃあそろそろ締めに入りますか。えー、そんな感じのイナゴデラックスですが、ホールとかでやる公演、○○区民文化センターとかでやる公演と、今回ヲルガン座での公演、違うと思うけど意識したところってある?台本だったり、内容、演出だったり。難しかったこととか、見てほしいところとか。何でも。
タケダ:
うーん。(考え中)
イズミ:
あ、今答えなくていい、パンフ載せるときに自分で追加しといて(笑)。後で私がそれ見て「ああそういうことだったのか」って確認するから。って言いつつ結局書かれてない可能性もあるけど(笑)。
タケダ:
ホント、今回はやってみないとわかんないってのが正直なところで。でも稽古はずっと楽しいです。これまでと比べても、つまんないなと思う瞬間が一瞬たりともないというか。
イズミ:
今まではつまんなかった?
タケダ:
つまんないっていうか、割と考えたくないことを考えてる時間も多かったですけど。今回は演出してる時も舞台立ってる時も、ただ楽しんでます。
イズミ:
そういう部分が舞台に出るかもね。
タケダ:
出たらいいですし、今、公民館とかで稽古してますけど、実際にヲルガン座の舞台に立った時に、自分たちがやりたいことはこういうことだ!ってのが自然と出てきて、伝わればいいかなと。緊張すると思いますけど。
イズミ:
タケダくんって舞台で緊張するの?
タケダ:
基本、しないほうです。仕事の会議とかで説明する時のほうが緊張する。でもヲルガン座は緊張するかも。
イズミ:
何で?
タケダ:
場がすごく強いので。その場に対してケンカしちゃうと緊張するのかなって。だから稽古場でやってるものを舞台に乗っけた時に、あーこうすればいいんだ!ってのが感じられたらいいなって。でもそのこととイズミさんに喜んでもらえるかどうかは別です。
イズミ:
でももうホンは読んでるから。(完成時にイズミさんに台本は渡している)もちろんホンだけでどうのじゃないけど。
タケダ:
台本も今回はあまり考えすぎず、すげえ勢いでダーッって書き切って、後から推敲とかあまりしてないので、最初の感覚をなくさずにやりたいと思ってます。
イズミ:
楽しみにしてます。そういや私も、この14周年の別の企画で武田くんと共演してるからね。
タケダ:
・・・あれか。あれ撮り直さないんですか?
イズミ:
撮り直さない。気に入ってるから。フランス人みたいな良い声(笑)。(※気になる方は、こちらの公演にぜひお越しください。→( 「~garçonレビュウショウ劇団旗揚げ公演~garçon revue SHOW!」 )
タケダ:
あ、あとこれは偽善って言われてもいいですけど(笑)、今回はとにかく、僕らがやることが、ほんの少しでもいいからヲルガン座にとって良いことになればいいなと。マイナスになったら嫌だけど、欠片でもいいから、何か力になればと。今回はそれが全てです。中国新聞さんにはもっともらしいこと言いましたけど(笑)。
イズミ:
偉い!偽善者の称号を得ただけのことはある(笑)。
タケダ:
演劇やるヤツなんかみんな偽善者さ(笑)。
イズミ:
(笑)。もう楽しみでしかないです。でも当日私、いないかも。「今日休みなんだ」とか言って。
タケダ:
あり得るな!「ごめん、後で配信映像観るわ」って(笑)。
イズミ:
私もホントはそういう女になりたいのよ、そのほうが大物だし(笑)それこそが今回の最大のオチじゃない。でもできない、それが私のダメなところ(笑)。私はいつまでもアングラ。
タケダ:
今、サラッと名言を(笑)。
イズミ:
だから当日、ちゃんといます(笑)。
タケダ:
よかった。がんばります(笑)